何の前触れもなくSILKYPIX最新版のβバージョンが公開された。もともと私はSILKYPIXの初版からのユーザーだったのだけど、途中からほかのソフトに乗り換えてしまった。現在はアドビのLightroomとPhotoshop CCを愛用している。SILKYPIXは当初カラーマネージメントに難があったのと、安定性に欠けていたこと、なにより自分好みの写真に仕上げるまでに調整するパラメーターの数が半端なかったことが遠ざかった理由だ。
「まぁ無料期間だけでも使ってみるか」とインストールしてみたのだが、これはちょっと驚きの結果を招いた。手持ちカメラで撮ったJPEGを読み込ませると、そこには私がLightroomで作成したプリセットを適用したものとほとんど変わらない画像になる。これにはちょっとビックリさせられた。先々月から、余程のことがない限りJPEGでの撮影を心掛けている自分にとって、新しいSILKYPIXはものすごい武器になるんじゃないかという予感が走る。
Lightroomも初版から使っているが、当初はその画像管理に惚れ込んだ。ところが、さすがのLightroomも数万枚の画像となると管理自体がうまくできなくなってきた。ソフトにその能力があっても、それを使う自分のほうの処理能力が追い付かない。画像ファイルに余計なデータが書き込まれるのが嫌で、コメントを入れたりキャプションを書き込んだりをしてこなかったせいで、Lightroomの画像管理機能のおいしいところを使えないわけで、その機能は今やほとんど利用しなていない。
もはやこの手のソフトに期待するのは「いかに自分好みの写真に仕上げられるか」という一点だ。しかもそのプロセスは簡単であればあるほどありがたい。最新版とは言えβバージョンゆえに動作にぎこちなさが見て取れるし、SILKYPIXは最新バージョンについては結構なバグが内包されていることが多いので、手放しで「買い!」というわけにはいかないと思っている自分がいるのだが、この仕上げ具合を見せられると「これは手に入れても損はないぞ」とザワザワとする感覚も込み上げてきた。
とりあえずJPEGに関しては文句のつけようがない結果だと思う。特に今まで手作業で調整していたトーンカーブを見ながらのダイナミックレンジの補正が、ボタン一発でできるようになったのはとても楽だ。今後はJPEGメインの撮影に切り替えていく予定だが、今まで撮り貯めてきたRAWについての現像はどうだろうか。
うむむ、これはLightroomの対抗馬として十分なポテンシャルを持っていそうだ。いままでのSILKYPIXよりも硬調な絵が出てくる気がするので、それを嫌う人もいるかもしれないが、私はこういうカリッとした絵作りのほうが好み。純国産ソフトってのも今の御時世ゆえに心を揺さぶるものがあるし…こりゃ自分へのクリスマスプレゼントにちょうど良いかもしれない。(でもやっぱり最終的にはアドビに戻ってしまうってのが今までのパターンなんだけど…)